豊乗寺(智頭町)概要: 宇谷山豊乗寺は鳥取県八頭郡智頭町大字新見に境内を構えている高野山真言宗の寺院です。豊乗寺の創建は不詳ですが平安時代初期の嘉祥年間(845〜851年)に弘法大師空海の実弟である真雅大僧都が開いたのが始まりと伝えられています。記録的には開山5代範恵阿闍梨が明応5年(1496)に梵鐘を謂ていることから、それ以前から開かれていたと思われます。戦国時代には寺運が隆盛し、境内には数多くの堂宇が建立され僧坊は12を数え、大山寺や三徳山三仏寺と共に密教信仰の一大拠点となりました。
天正8年(1580)、羽柴秀吉による因幡侵攻の兵火により多くの堂宇が焼失しましたが、梵鐘や多くの寺宝、仏像などは地中深く隠した為無事だったと云われています。寛永年間(1624〜43)高野山の真慶が中興し秀尊が堂宇を再建し、地中から往時の寺宝を掘り出しましたが全盛期の威容には至らなかったそうです。寺宝は多く、鳥取県内に数少ない国宝「絹本著色普賢菩薩像」を所有し絹本著色楊柳観音像と木造毘沙門天立像が国指定重要文化財に指定されています。
現在の豊乗寺大師堂は天明2年(1782)に建てられたもので、正面入母屋、背面寄棟、茅葺、桁行3間、梁間3間、外壁は真壁造り白漆喰仕上げ。山門は延享元年(1744)に建てられたもので入母屋、桟瓦葺(建築当初は茅葺と推定されています)、八脚単層門、左右には仁王像が安置されています。両建物共、江戸時代中期の寺院建築の遺構として貴重な存在で鳥取県指定保護文化財に指定されています。山号:宇谷山。宗派:高野山真言宗。本尊:阿弥陀如来。
豊乗寺の文化財
・ 絹本著色普賢菩薩像−平安時代後期−国宝
・ 絹本著色楊柳観音像−中国元時代−国指定重要文化財
・ 木造毘沙門天立像−平安時代後期−国指定重要文化財
・ 絹本著色両界曼陀羅図−鎌倉時代−鳥取県指定保護文化財
・ 絹本著色不動明王像−鎌倉時代−鳥取県指定保護文化財
・ 豊乗寺のスギ−推定樹齢300年以上−鳥取県指定天然記念物
・ 豊乗寺大師堂−天明2年−鳥取県指定保護文化財
・ 豊乗寺山門−延享元年−鳥取県指定保護文化財
豊乗寺:上空画像
|