投入堂(三徳山三佛寺)概要: 三佛寺投入堂の建築年は不詳ですが慶雲3年(706)、役の行者が里で建立した御堂を法力により現在地に投げ入れたのが始まりと伝えられています。
境内は三徳山の北側中腹標高520mの位置にあり上部層が安山岩層、下部層が凝灰角礫岩層で構成されている断崖絶壁にその侵食の違いによって生じた岩窟に投入堂は建立されています。
投入堂は建築工法だけでなく年輪年代測定でも平安時代後期(11世紀後半から12世紀前半に伐採された木材が使用されていることが証明された。)に建てられたもと実証され、現存する神社本殿建築の中でも最古級の1つとされています。
投入堂の構造は流造(左右に庇付)、檜皮葺き、桁行の柱間が1(背後は柱間が2)・梁間の柱間が2、L型に身舎を設けて縁には高欄を廻し、外壁は赤と白の顔料で彩られ、一般的な懸造の基礎で見られる複雑な構造ではなく、柱と筋違だけで構成していることから御堂の方が強調され建物が浮いているような独特な外観となっています。
往時は三佛寺本尊である蔵王権現(仁安3年:1168年製作、国指定重要文化財)をはじめ7体の蔵王権現立像が安置され、三佛寺の奥之院として神聖視され一般者は参拝することが出来なく、基本的な参道も途中で途切れ近づくことも容易ではなく、投入堂自体にも入口と呼ばれるようなものがないことからも古くから、人間から遠ざけられている存在だったのかも知れません。
三佛寺投入堂は平安密教建築の数少ない遺構として極めて貴重な事から明治27年(1894)に国宝に指定されています。
三佛寺投入堂の附国宝
・ 愛染堂−平安時代後期−切妻、檜皮葺、桁行1間、梁間1間
・ 三佛寺投入堂の棟札−永和元年(1375)1枚
・ 三佛寺投入堂の古材43点(大正時代の改修時に取り替えられた古材)
懸造を簡単に説明した動画
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